北陸は全国でも有数の豪雪地帯です。
そんな雪国である北陸で新築を考える際に、“ 雪国ならでは ” の必ず確認しておくべきポイントを紹介していきます。
最近は、異常気象が常態化しつつもあり、昔の基準に従って設計をしているだけでは不十分なことも発生してくるでしょう。
ぜひ、今回の記事を参考にしてみてください。
それでは、まず今回の記事の要点からみていきましょう。
・北陸は豪雪地帯で、35坪の家に1mの雪が積もったとき、その重量は10t!
→雪が乗っているときに大地震が来ても耐えられる構造になっているか?が大事
・家は基礎も大事で、基礎の設計が積雪を考慮した設計になっているか、そして地盤調査に加えて「微動探査」までやっていることで、大雪の時も安心な家に
・北陸の豪雪に対応しやすい屋根の形状があり、太陽光発電も積雪荷重試験を行ったパネルで問題なし(ただし雪が載っていると発電しにくい)
<1> 確認すべきコト① 積雪を考慮した耐震設計になっている?
まず1点目は耐震設計について、です。
みなさんは「建築基準法を遵守した形で家の設計をしている」と聞くと、安心感がある気がしますよね。
しかし、ここが1つ目の「落とし穴」です。
特に一般的に多い在来軸組工法で、過半数の工務店が採用している簡易的な計算(壁量計算)で耐震性を計算する場合、積雪の荷重を考慮する項目はありません。※現在の建築基準法
北陸では冬になれば、家にもっさりと雪が乗りますが、約35坪の家に1mの雪が積もったとき、家に掛かっている重量は約10t!にもなります。
また、この大雪が乗った状態で大地震が来ることは、在来軸組工法の場合、建築基準法では規定されていません。(2×4工法は積雪地向けの壁量UPの規定がある)
それでは、どうすればいいのか?を紹介していきます。
<1-1>耐震等級3が必須
出典:ALSOK
耐震等級とは、まさに耐震性を表す指標の1つです。
耐震等級には3段階あります。
耐震等級1:建築基準法の規定どおり
耐震等級2:建築基準法で決まっている地震等の力の1.25倍の力に耐えられる設計
耐震等級3:建築基準法で決まっている地震等の力の1.5倍の力に耐えられる設計
北陸では、耐震等級3になっている住宅会社は実は多くありません。
理由は、積雪を考慮したときになかなか耐震等級3が取得できないことによりますが、それは住宅会社側の都合であることが多いでしょう。
自由な間取りはステキですが、安全性が確保されていることも、確認しておきましょう。
<1-2>基礎も積雪に耐えられる設計に
基礎も地盤の硬さから、建物の重さ・バランスまで考慮して、強い基礎でないといけません。
強い基礎とは、配筋と呼ばれる鉄筋の太さ・密度の違いや、基礎の立ち上がり部(基礎梁)の連続性など、様々な要素で決まります。
また、スウェーデンサウンディング試験と呼ばれる地盤調査はどこの会社でも行っていますが、微動探査も同時に行ってはじめて北陸の気候に合った設計になると言えます。
地盤調査とは、地盤が建物の重量に耐えられるかどうかを調べるための試験で、実は地震発生時の揺れやすさなどはわかりません。
それに対して微動探査とは、地震が起きた時、その土地がどれくらい揺れやすいかを測定する試験で、地震時のその土地の特性まで調べることができる試験になっています。
地震で揺れやすい土地かどうかの判断であり、北陸ではやっておくと安心な地盤試験です。
<2>雪国ならではの屋根と太陽光発電
北陸エリアでは、雪のことを考えた屋根になっていることが多いです。
まずは、いろんな屋根の種類からみていきましょう。
<2-1>屋根の種類はこんなにある
屋根の種類は、上図で代表的な形状を載せていますが、実はここに載っていないような屋根形状もあります。
この屋根形状も北陸ならではの特徴があります。
雪の心配が少ない太平洋側では、①切妻屋根 ②寄棟屋根 ④片流れ屋根 ⑭方形(ほうぎょう)屋根が多いです。
一方、北陸など雪国では屋根の形が異なってきて、①切妻屋根 ③陸(ろく)屋根 ④片流れ屋根 ⑥招き屋根 ⑫腰折れ屋根 などが多くなってきます。
<2-2>北陸含む雪国の屋根の特徴
いずれも雪を落としやすい、もしくは落とさなくてもいい(陸屋根のみ)という考えから屋根の形状が工夫されています。
出典:セキノ興産
また雪国の屋根には、雪止めと呼ばれる突起物が屋根にありますが、これは雪がいきなりドサっと落ちて人に当たらないようにする工夫です。
太平洋側でも、隣家との隙間が狭かったりする場合などに採用されることがありますが、北陸ではほぼ全ての家に設置されています。
①切妻屋根
左右に屋根の傾斜がついている屋根になっており、雪が落ちやすい(自然落雪式)
④片流れ屋根・⑥招き屋根
南側に傾斜面積を大きく設計すると、晴れの日に雪が溶けやすい(自然落雪式)
⑫腰折れ屋根
北海道に多い屋根形状で、雪が滑り落ちやすく上にもたまりにくい(自然落雪式)
いずれも雪を自然に落とす考え方のため、雪が落ちるスペースを配置図から考えておく必要があります。
また逆に落雪をさせにくい屋根として、陸屋根や寄棟屋根が採用される場合もあります。
陸屋根では、雪をためて電気などを使って、雪を溶かす融雪式という方式もあり、その地域の積雪状況や家のデザインによって変わります。
<2-3>太陽光発電は雪が降っても大丈夫
出典:エコめがね
よく太陽光発電は上に雪が積もっても大丈夫なの?という質問をいただきます。
結論からお伝えすると、太陽光パネルは積雪を考慮した試験などを行っており問題ありません。
また、富山県や石川県でも山間部などのさらに雪が多いエリアに建築する場合は、さらに強度の高い積雪タイプの太陽光発電もありますのでご安心ください。
そして太陽光発電で気になる点は、冬は発電がしにくいため設置の費用対効果(経済性)です。
こちらも、太平洋側に比べて年間を通じて約10~20%程度発電量が少ないものの、冬以外は太平洋側より発電量を稼ぐため、年間を通じて考えた総発電量ではそこまで差がないというのが結論です。
光熱費が高騰しており、下落する楽観的な要素はほぼない状況から、太陽光発電は北陸でもおすすめのアイテムです。
最後に自然災害補償にも加入しておくと「10年に1度の大雪」のような事態にも備えておくことができるので、これで安心感も万全です。
<3>エツサスの構造仕様
そして、これらを踏まえてエツサスの標準仕様を紹介します。
・耐震性:耐震等級3を標準で確保し、積雪量を加味した設計を全棟で実施
・基礎:積雪量を加味して配筋量・太さを設計。連続した基礎梁で構造をしっかり支えます
・屋根:標準プランでは片流れ屋根もしくは切妻屋根を採用しています
・太陽光発電:建築地によって積雪180cm対応品を用意
エツサスでは、今回の記事で紹介したようなポイントはしっかり抑えて標準的にご提案しています。
さらに建築コストとのバランスも考えて、コストパフォーマンスの高い規格設計になっており、比較検討の際にも性能とコストでの満足度が高い仕様が特徴です。
気になった方は、ぜひ以下からモデルハウスの見学や、カタログをご覧になってみてください。