耐震性は新築を考えるとき避けては通れない、むしろ避けてはいけないポイントの1つです。
自動車に例えるなら、事故の時の衝突性能を軽んじているのと同じです。
自動車は一時的な移動ですが、家は長い時間住み続けることから、より一層安全性については大事になってきます。
家族を大切にする方にこそ、しっかり参考にしてほしい内容になっています。
それでは、まず今回の記事の要点からお伝えしていきます。
・耐震等級3は必ずこだわってほしいポイント
・建築基準法を遵守している、は安全と言い切れません。建築基準法の規定自体が甘い
・耐震性を計算する方法には3種類あり、一番簡易的な壁量計算はおすすめできない
・簡易的な計算である壁量計算は、2025年に改正予定。
すなわち見直すべき箇所があることを国が認めている。
<1> 耐震等級とは
出典:ALSOK
まず耐震等級とは、地震に対する家の強さを示す指標です。
グレードは3段階で表され、等級1~3まで数字が大きくなると耐震性が高い、すなわち地震に対して強い家となります。
この「耐震等級」というグレード分けは、品確法という法律をもとにした計算、もしくは構造計算と呼ばれるかなり複雑な計算を持って初めて等級の設定ができます。
一般的に普及している最も簡単な計算方法である、壁量計算では耐震等級は算出できませんが、巷では「なんちゃって耐震等級」が出回っているので注意が必要です。
<1-1>建築基準法の規定をしっかり読んでみよう
「現在の法律に則って家を建てていれば、地震で倒れることなんてないんじゃないの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
答えから申し上げると、「NO」です。
建築基準法施行令第88条第2項と第3項に、耐震性に関する規定があります。
その条文を要約すると、
「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震に対して倒壊・崩壊しない程度」
「稀に(数十年に一度程度)発生する地震に対して損傷しない程度」の耐震性を確保すること、とあります
極めて稀に発生する地震は「震度6強~7程度の地震」、稀に発生する地震とは「震度5強~6弱の地震」で発生するエネルギー程度となります。
しかし、建築基準法上では「中規模地震は震度5強~6弱の地震、大規模地震は震度6強~7の地震」といった震度との相関は明記されていません。
石川県能登地方では、直近の2023年5月にも震度6強~5強の地震がありましたが、本当に「数百年に一度程度」という建築基準法のままでよいのでしょうか?
また建築基準法では人命を守ることを基準としているため、家が1回目の地震で倒壊せずに避難できるレベルが基準となっています。
そのため条文には「倒壊・崩壊しない程度」でよく、「その後に普通に住み続けることができる程度」までは要求されておらず、資産を守るという観点からは不十分と言えます。
<1-2>耐震等級3相当の「相当」には要注意
冒頭でも少し触れた内容ですが、「なんちゃって耐震等級」の話です。
この「なんちゃって耐震等級」を見破る方法としては、耐震等級3「相当」というPRをしている住宅会社がそれにあたります。
この「相当」には注意が必要です。
壁量計算と呼ばれる簡易的な計算のみを行っており、建築基準法に対して1.5倍の壁の量があるだけの設計が「耐震等級3相当」となっていることが多いです。
そもそも、耐震等級の「等級」は品確法や構造計算によって導き出され、建築基準法で定める力の1.5倍の力に耐えることができる耐震性があることが基準となっています。
家の耐震計算には3種類あり、そのもっとも簡易的な計算で済ませていると、このような表記をしている場合が多く要注意です。
それでは、この3種類の計算方法について解説していきます。
<2> 耐震計算には3種類の計算方法がある
出典:構造塾資料
上図は、耐震性を推し量る3種類の計算方法と、その計算ごとに考慮する項目を一覧表にしたものです。
一番簡単な計算は壁量計算(仕様規定)と言われる計算方法で、図面1〜2枚の手計算程度で完了する計算となっています。
それに対し、品確法では床面の強度や基礎・横架材(梁と呼ばれる水平方向の骨組み部材)の強度も計算されてきます。
この品確法による計算では、長期優良認定住宅を取得する際には第三者機関によるチェックも入りますので、より一層の安心感が出ます。
また、もっとも複雑な計算である構造計算(許容応力度計算)の場合には、耐力のバランスや家財・雪の重さなども考慮した計算になってくるため、一番信頼できる計算方法であります。
<3>一番簡単な計算方法=壁量計算は見直し予定
2025年に、建築基準法の改正が予定されています。
これは、これから家づくりを考えていく方に、間接的に関係がある話になってきます。
もちろん、みなさん自身が計算に携わることはないので、あくまで間接的ではありますが、今までは法律的にも通過していた間取りプランが、通過しなくなる可能性があります。
<3-1>4号特例の改正
4号特例という建築基準法上の規定が見直される予定になっています。
4号特例を簡単に解説すると、一般的な木造の平屋・2階建ての家であれば、建築士の簡易な壁量計算で耐震性を計算してもよい、という規定でした。
大きなビルなどは構造計算が必須でしたが、一般的な戸建ては建築士の簡易的な計算で済ましてもよく、また確認申請時に提出する義務すらありませんでした。
これが2025年度からは、壁量計算を行う際の基準が見直されたり、確認申請時の計算書類も提出が義務となるよう変更が予定されています。
この改正の内容を少し俯瞰的に見ると、現行の基準で問題があるから改正をするわけです。
国自体が、壁量計算では不十分と認めているようなものです。
<3-2>2025年以降の基準でも問題ない家に
自由設計という名のもと、現在の壁量計算による建築基準法の規定だけを満たす家は、2025年度以降に「既存不適格の家」になります。
既存不適格とは、建築済みなので見てみないフリをするけど、実はその時点での法律基準を満たしていない家、という意味です。
2023年時点では良くても2025年時点ではダメな家、ということです。
2025年になれば、地震が弱くなることはないので、早めに基準を満たした家にしておくに越したことはありません。
そのためには、構造計算や品確法による詳細な計算を行って、耐震等級を2~3にしておくことが大事です。
※壁量計算による耐震等級3は「暫定的に」認められる予定ですが、あくまで暫定的としている意味が重要です
<4>エツサスでは積雪まで考慮した耐震等級3
全世界の約20%の地震が集中していると言われている日本ですが、さらに北陸では冬の積雪時の対策も忘れてはいけません。
屋根に積もった雪の荷重は1mで約10トンにもなり、積雪荷重がある状態で地震が起こると建物の揺れは1.5倍以上に増幅します。
だからこそ、地震に対する備えは万全にすることが求められています。
エツサスは地震の力や揺れをバランス良く受け止めるモノコック構造、そして繰り返しの余震に粘り強く耐えるプレウォール工法を全棟で採用しています。
また国が定める耐震性能基準の最高レベル「耐震等級3」をクリア。
<4-1>第三者機関によるダブルチェック
エツサスは品質を担保するために、第三者による現場品質監査を導入しています。
計10回の主要工程ごとに、品質基準に適合しているかを監査します。
品質管理が適正に実施されているかどうかの調査を、監査項目書(チェックリスト)に基づき、あえて外部の専門家の視点から厳格なチェックで自社・第三者でダブルチェックを行います。
これにより設計図面上の耐震性を、現実の能力として抜かりなく実現していきます。
以下で、より詳細なエツサスの性能を紹介していますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。