今回は、経済産業省から正式に発表されたGX ZEHについて、わかりやすく解説していきます。
GX ZEHって何?ZEHとなにが違うの?
こんな疑問をお持ちの方、これから新築を考えている方におすすめのコラムになっています。
それでは、まず今回のコラムの要点から見ていきましょう。
・GX ZEHは、ZEHに比べて断熱性や省エネ性能がアップした高性能住宅の基準です
・北陸の気候風土を考えると、できればGX ZEHぐらいの性能があった方が望ましい
・ZEHとの違いは断熱性が「必要最低限」から「必要十分」になるイメージで、長く住み続ける前提であれば快適性が一段階高いGX ZEHへ
・光熱費も今後安くなる見込みも薄いですが、GX ZEHであれば無理せずに光熱費も節約できる
<1>GX ZEHとは
まずGX ZEHとは、ZEH(ゼッチ)の進化系です。
そもそもZEHとは、断熱性・省エネ性が一定のレベルに達して、家で1年間に使うエネルギーを、太陽光発電の創エネルギーで “実質的に” ゼロにする住宅を指します。
ひと昔前は、各住宅会社がこのZEHを目指して、全体的に性能アップがはかられてきました。
国の基準を上回るZEHは、実は今ではもう「当たり前の基準」になってきており、これから新築を検討される方はZEHを基準にして、どんな性能にするか?が1つのテーマになります。
その中で、さらに一歩先の基準として登場したのが「GX ZEH」です。
<1-1> GX ZEHとは
作成:エツサス
それでは、GX ZEHに関する定義を見ていきましょう。
GX ZEHでは、断熱・省エネ・創エネの3つの要素がすべて強化されており、まずは断熱性能です。
ZEHは、断熱等級5以上(北陸の主要地ではUA値:0.6W/㎡・K以下)でしたが、GX ZEHは断熱等級6(北陸の主要地ではUA値:0.46W/㎡・K以下 ※一部では0.34)以上となっています。
つまり、ZEHより一段階、断熱性能がアップしている家のコトとなります。
そして2つ目は省エネ性です。
一次エネルギー消費量(その家で1年間に使うエネルギーの試算)が基準から20%以上低い(=基準とする家より2割以上省エネな家)家がZEHです。
GX ZEHは35%以上の削減率となっており、ZEHよりさらに省エネな家となるわけです。
さらにZEHは、太陽光発電などの創エネで100%以上(=1年間で使うエネルギー以上に発電すればOK)であれば基準がクリアでしたが、今度は「GX ZEH+」として115%以上という基準も設けられました。
より高いエネルギー自立性が求められる時代に対応した基準といえるでしょう。
<1-2>HEMSや蓄電池が必須設備に
GX ZEHの基準には、HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)や蓄電池が基本的に必須設備になっています。
家庭内のエネルギー使用を“見える化”し、発電・蓄電・消費のバランスを最適化することが目的で、今後はエネルギーの自給自足でさらなる社会全体のエネルギーを抑えていく方向です。
ただ、これまで都市部の狭小地や積雪地(北陸は積雪地に該当)はZEH Orientedとして、太陽光発電がなくてもZEHの認定は受けることができました。
特に北陸エリアでは、GX ZEHも同じようにOrientedの項目があるため、太陽光発電や蓄電池の導入がなくとも、「GX ZEH Oriented」として適用自体は可能ではあります。
しかし、将来的なエネルギー価格上昇や災害時の備えを考えると、予算に余裕があれば蓄電池などを備えたGX ZEH仕様が望ましいでしょう。
<2>GX ZEHにする必要性は「ある」
ひと昔前の温暖な地域ではZEHでも快適に暮らせるかも知れませんが、冬の寒さ・昨今の夏の酷暑を考えると、断熱性能の差が体感レベルに影響してきます。
GX ZEHは、UA値(外皮平均熱貫流率)で0.46以下という高水準を求められるため、室内温度の安定性が格段に高まります。
たとえば、リビングでエアコンをつけたとき、隣の廊下やトイレまでほんのり暖かい、といった温度ムラの少ない環境を実現できます。
この「家全体が穏やかに暖かい・涼しい」感覚こそが、GX ZEHの真価といえるでしょう。
結果として冷暖房負荷を抑え、快適性と省エネ性の両立を実現します。
また、一次エネルギー消費量の削減率の35%を「何で実現するか?」によっても変わってきますが、熱交換型の換気扇・高断熱住宅にマッチした空調を使ってエネルギー消費量の削減を行なっていると、一層室内の快適性に直結します。
<2-1>北陸の気候風土では特にGX ZEHが望ましい
北陸地域は、日本でも特に「寒冷・多湿・積雪」という厳しい条件がそろうエリアです。
冬は日照時間が短く、湿度も高いため、ZEHレベルでは室内全体の温熱環境を一定以上に保つのが難しい日もあるでしょう。
断熱性が不十分な住宅では、窓や壁の内側に結露が生じることもあり、カビやダニの原因になります。
GX ZEHレベルの高断熱住宅であれば、外気温の影響を大幅に軽減できるため、結露リスクも大幅に低下し、建物の耐久性などにもよい影響を及ぼします。
また、北陸では寒暖差による「ヒートショック」も大きな課題です。
冬場に暖かいリビングから冷えた脱衣所へ移動した際に急激な温度変化が起こると、血圧が大きく上下し、健康リスクが高まります。
GX ZEHクラスの住宅なら、家全体の温度差を小さく保てるため、こうした健康被害の防止にもつながります。
さらに、断熱性の高さは夏の快適性にも直結します。
直射日光による外気熱の侵入以外に、建物自体からの輻射熱による室温上昇を抑えられるため、冷房効率も良く、真夏の電気代を抑える効果も期待できます。
<2-2>「必要最低限」から「必要十分」
ZEHは国が定めた省エネ住宅の “ 2030年に必達すべき最低限ライン ” です。
つまり、これからの住宅はZEHでようやくスタートラインに立ったという位置づけです。
GX ZEHは、その一歩先として「必要十分な性能」を持つ家と言えます。
断熱・気密・省エネのすべてを高水準で整えることで、長く安心して暮らせる「本当の意味での高性能住宅」となります。
特に前述したような北陸エリアの気候風土を考えると、GX ZEHレベルの住宅性能にすることで暮らし心地や健康維持、そして光熱費に直結します。
例えば、わずか数十万円の初期コストをかけてGX ZEHにすることで、年間の光熱費が数万円単位で削減できれば、10年、20年単位で見れば大きな差になります。
また、これからの住宅政策では、GX ZEH基準を満たす家が補助金や税制優遇の対象になる可能性も高く、結果的に得をする選択になるケースも多くなるでしょう。
<3>GX ZEHのメリット
GX ZEHの最大のメリットは、光熱費の安定と快適性の持続です。
断熱・省エネ性能が高いため、冷暖房に頼りすぎずに快適な室温を保てます。
また、エネルギー価格が上がり続ける現状において、GX ZEHであれば無理なく光熱費を抑えられる点も魅力です。
さらに、GX ZEH仕様の住宅は将来的な資産価値の面でも有利になる可能性もあります。
高性能住宅はリセール時の評価が高くなることも期待でき、省エネ基準の厳格化が進む中でも長期的に価値を維持できます。
まとめ
GX ZEHは、これからの時代にふさわしい次世代住宅であり、「必要最低限」ではなく家族のために「必要十分」を求める方におすすめの住宅です。
ZEHの基準を一歩進め、快適性・省エネ性・防災性のすべてを高水準で備えています。
エツサスでは、北陸の気候風土に合わせた断熱仕様・気密施工を重視し、GX ZEH基準に適合する住まいを標準仕様でご案内しています。