今回は、昨今流行しているシンプルデザインを特集します。
シンプルデザインと言うと、物足りないような印象を受けがちですが、それも設計次第です。
シンプルでも飽きが来ないようなデザインにするためには、どんな工夫をすればいいか?
そんなポイントを解説していきます。
まずは、当コラムの要点から紹介します。
・無垢材を活用することで、ランダムな変化が床面に生まれることと同時に、樹種によっても異なる経年変化があることで飽きが来にくい
・無垢材は、凹みやキズがつきやすいデメリットがありますが、それも1つの思い出と考えると、家族の時の経過を感じることができる
・吹抜空間は、単調な空間に変化をもたらすと同時に、1日の時間の中でも部屋の異なる表情を生み出しやすい
・吹抜空間を取るときには、断熱性能を等級6以上にすることがおすすめで、1階・2階の温度差を最小限にして、長く快適に暮らすことができる
<1>無垢材が生み出す空間の変化
出典:株式会社マルホン
無垢材とは、自然の木から切り出したままの状態で加工された材料で、今回は床材を指します。
集成材や合板とは異なり、一枚の木をそのまま使うため、木目や色合いに個性があります。
同じ種類の木でも、ひとつひとつに微妙な違いがあり、床に無垢材を採用することで空間は表情豊かになります。
無垢材には表面に現れる木目・節・色ムラがランダムな変化をもたらし、均一的な人工物にはない自然なリズムが空間に広がります。
さらに、使う樹種によっても経年変化の特徴が異なります。
たとえば、ナラ材は年数が経つと深みのある色に変化し、メープル材はしっとりとした飴色へと表情を変えていきます。
このように時間とともに住まいが少しずつ成熟していく感覚を味わえることは、無垢材ならではの魅力であり、このような変化が飽きが来にくい空間にしてくれるでしょう。
<1-1>無垢材のデメリットをメリットに変える
無垢材には凹みやキズがつきやすいというデメリットがあります。
しかし、そのデリケートさを「デメリット」と捉えるのではなく、家族の歴史を刻む一つの味わいと考えてみるのもよいでしょう。
子どもたちの成長、ペットとの暮らし、友人たちとの楽しい時間、ふと見つけた小さなキズに、そんな日々の思い出が重なると、家への愛着が一層深まっていきます。
無垢材の住まいは、時が経つほどにその魅力を増し、住む人とともに成長していく特別な空間に仕上げてくれるでしょう。
<1-2>無垢材ごとの変化のまとめ
出典:ウッドワン・床材カタログ
ここで、豆知識として無垢材ごとに、どういった経年変化をしていくのか?を一覧表にまとめています。
ぜひ参考にしてください。
<2> 吹抜空間が生み出す空間の変化
出典:エツサスの施工事例
2025年以降、新築では法改正の影響を受けて、一般的には吹抜空間を採用することが少し難しくなります。
エツサスのような構造計算を実施して、もともと高耐震の工法を採用している場合は影響はありませんが、一般工務店では影響が大きく出ている状況です。
しかし、法改正は関係なく開放感あふれる家づくりを目指す場合、吹抜空間は取り入れたい設計方法のナンバー1でもあります。
天井の高さを確保することで、一般的な部屋よりも格段に広がりを感じることができ、他の部屋と比べても空間としての「変化」が大きいです。
このように吹抜空間がもたらす魅力は、広さを感じ取りやすくなるだけでなく、単調になりがちな居室に豊かな変化をもたらすことです。
<2-1>吹抜空間がもたらす1日の中の空間変化とは
出典:エツサスの施工事例
例えば、吹抜に面した窓からは、朝~昼~夕方で異なる自然光が差し込みます。
朝日が斜めに差し込む清々しい時間、昼には天井近くから明るい光が差し込み、夕暮れにはほんのりとオレンジ色に染まるといった変化が楽しめます。
光の取り入れ方で、部屋の表情が微妙に変化します。
また、2階部分に窓があれば光や風を多く取り込むこともでき、自然とのつながりを感じられる空間となります。
さらに、吹抜を介して家族のコミュニケーションが自然と生まれやすくなるという効果もあります。
なお、エツサスのプランには吹抜を入れていますが、空間の変化の表現だけでなく次に解説する注意点も配慮して設計してあります。
<3>吹抜などの開放空間を取る時の注意点
吹抜空間は、広がりと変化をもたらす設計ですが、一方でいくつかの注意すべきポイントもあります。
特に重要な2つのポイントは、「断熱 / 空調設計」と「耐震性」です。
<3-1>吹抜の断熱 / 空調設計
吹抜空間は、上下に広い空気の流れを生み出しやすいです。
断熱性や気密性を一定以上のレベルにしないと「寒い・暑い」、「階段を上っていくと温度差を感じる」といった不快感につながります。
これは空気が持つ自然現象が原因ですが、冷たい空気は下に、暖かい空気は上にこもるといった性質がありますが、これを防ぐためには住宅全体の断熱性・気密性を高めることが欠かせません。
具体的には、断熱性は断熱等級6以上(HEAT20 G2グレード相当)、気密性は最低でのC値1.0以下にすることが推奨されます。
このレベルの断熱性能を確保することで、室内の温度差を最小限に抑え、1階と2階で大きな温度差を感じにくくなり、年間を通じて快適な暮らしが実現できます。
さらに、吹抜空間に面する窓には、できるだけ高性能なトリプルガラスやLow-Eガラスを採用し、日射のコントロール性を高める工夫が必要です。
冷暖房の効率を高めるためには、シーリングファンの設置や床下エアコンの導入など、吹抜と絡める空調設計にもひと工夫が必要となっており、同時に専門的な知識も必要です。
「開放感」というメリットを最大限に活かしながら、「快適性」を損なわないためには、設計段階から性能面への配慮が不可欠です。
見た目のデザインだけでなく、住み心地を長期的に見据えたプランニングまで考えましょう。
<3-2>吹抜における耐震性
吹抜があることで、空間に変化がうまれて飽きが来なくなりにくい一方、耐震性の視点からは吹抜はネガティブな要素です。
吹抜があることで、水平面(床や天井)が少なくなり、家全体の耐力を保持するためのパーツが少なくなるわけです。
そのため、吹抜空間を取ると、同時に耐震等級3といった高耐震な設計がしにくくなります。
今までは北陸は地震が少ないように見えていましたが、能登半島沖地震もあり安心して住み続けることを考えると、耐震性も外せない要素の1つです。
シンプルデザインと吹抜は相性がいいものの、「目に見えないポイント」である耐震性にもしっかり目を向けて、耐震等級3を確保した上で吹抜を設計しましょう。
まとめ
エツサスでは、今回上げた断熱性・耐震性といった最低限の性能をしっかり確保した上で、シンプルデザインや無垢材と組み合わせたプランをご提案しています。
北陸の住まいに最適な性能 × 無垢材 × コストパフォーマンスといったキーワードが気になった方は、ぜひお気軽にモデルハウスにお越しください。
また以下からカタログの取り寄せもできますので、ご家族でご覧になってください。
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