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【家づくりの基礎知識】家づくりの品質の要「作業手順書」とは?

こんにちは。ETUSUSの多賀です。

いきなりですが、家は誰が建てていると思いますか?
まず初めに思い浮かぶのが大工さんだと思いますが、もちろん大工さん一人で家は建てることができません。では住宅会社の社員で手分けをして建てているのでしょうか。それも違います。
家を1軒建てるためには、多くの工程があり様々な工事が必要になります。その全てを住宅会社で賄おうとしたら、ものすごい規模の会社が必要になります。
そのため家づくりでは工事ごとに専門の業者が作業に入り、分担して進めるのが一般的です。大工さんですら住宅会社の社員でないこともよくあります。

そうなると予想できるのが、伝達不足や思い違いにより本来と違う工事がされてしまった、といったミスです。
簡単にやり直せる内容ならいいですが、補修に多大な費用と時間がかかるもの、家の安全性を損なう内容だとしたら、取返しが付かないダメージです。

では家の品質はどうやって保たれているのでしょうか。
今回は家づくりにおける品質確保の方法について、次の3つのテーマに沿って解説します。

1.建設業界の根深い問題「大工不足と労働環境」
2.品質の要「作業手順書」とは?
3.品質だけじゃない、作業手順書のさらなるメリットとは?

1.建設業界の根深い問題「大工不足と労働環境」

最初に建設業界で起きている問題をお話しさせてください。
それは大工さんが年々減ってきているということです。建設業界における大工不足はかなり前から囁かれておりました。
少子化・人口減少の中にある日本では、住宅着工棟数自体が減ってきているので大工の減少はさほど問題ないように思えます。何が問題かと言うと、大工の減少が住宅着工棟数の減少より急激であるということです。

2030年に大工は21万人に減少、大工一人あたりが今の1.4倍の量の仕事をこなさなければいけなくなると予測されています。
それが無理だった場合、家を建てたくても順番待ち、急な災害で家の補修を依頼したくても大工がつかまらないということが起こります。生活の基盤となる家ですからそれでは困りますよね。

そもそもなぜ大工が減ってきているのかというと、建設業界自体の労働生産性が低いことに起因します。
大工職は現場での力仕事がメインです。それだけであればまだいいのですが、人によっては夕方まで現場仕事を行ない、それから事務所へ帰って事務作業や造作家具の図面をひくなど、とにかく仕事量が多いのです。
また仕事の現場が事務所ではないので、遠くの現場へ毎日通わなければならないなど、非常に業務時間が長く休みが少ないのが実態です

また若い職人が育たず離職率が高いことも問題となっています。技術が必要な大工職ですが、「背中を見て覚えろ」が慣例化している建設業界では、教育体制が整っていないところもまだまだ多く、技術やノウハウの継承がなされていません。さらに熟練した技術を持った大工は高齢化し引退を迎えます。
人手不足が深刻になる中、若い職人が実力以上の仕事を任され、業務に追われ担当したのがあなたの家だったとしたら・・・。

少し脅すような内容が続いてしまいましたが、もちろん各住宅会社でも施工者によらず品質を保つ仕組みを採用しています。
それが家づくりのマニュアルとなる「作業手順書」の作成です。

2.品質の要「作業手順書」とは?

「作業手順書」は、私達の身近にもあります。料理のレシピや、家電の取り扱い説明書、家具の組み立て説明書などがこれにあたります。
例えば組み立て式の棚を購入したとき、説明書を見ながら組立を行ないますよね。分かり難い説明書では、時間がかかりすぎてしまったり、間違えてやり直しになったりとイライラした経験が誰しもあるのではないでしょうか。
分かりやすい説明書では、どの順番で板を組み、どのタイミングでどのネジをどこに使うのかが、図と文で丁寧に記載されています。また今はQRコードを読み込み動画で見られるものも多いと思います。
組み立て式の家具は、誰がやっても同じように組み上がり、完成品の精度が保たれることは絶対条件であり、説明書が分かり難い商品はそれだけで評価が下がります。

家づくりの場でも同じで、若い大工、熟練の大工、誰が施工しても同じ精度で作業を進めることができる。それが作業手順書のメリットであり、絶対条件です。
作業手順書は、釘を打つ位置や本数、釘の間隔といった基準の決まっているものから、電線の太さや排水管の傾斜など、職人の経験によって導き出された内容まで、様々なノウハウが詰まったものです。
また図を多用し誰でも理解できるように作られています。作業手順書をもとに全ての作業が進めば、ミスなく品質の安定した家を造ることができます。
この作業手順書を各工程で作業に入る職人達にも共有することで、伝達ミスや思い違いによる施工間違いを防ぐことにも繋がります。

もちろん人間ですから、手順書を確認していたとしてもミスは起こりえます。そういったミスは検査体制をしっかりすることで大部分は防ぐことができます。現場検査についてはこちらのブログで詳しく書いていますので、こちらもご覧ください。(「家づくりで検査が必要な理由~第三者施工品質検査~」)

ここでひとつ問題があります。作業手順書を作成することで品質は安定しますが、施工内容が家ごとに大きく変わってしまうと、毎回作業手順書を作り直す必要があり、手間が大幅に増えてしまうということです。
この解決には住宅の施工方法の標準化や、品質の安定した工場生産品を採用することが有効です。
そして施工方法の標準化まで取り入れた作業手順書によるメリットは、実は品質の安定だけではありません。

3.品質だけじゃない、作業手順書のさらなるメリットとは?

先程の組み立て家具の例でも手順書が分かり難くて時間がかかりすぎるという話をしましたが、家づくりにおいてもよくあるのが施工順序の段取りミスです。Aという作業をした後じゃないとやれないBという作業があるのに、Aをやる前にBの職人さんが現場に入ってしまうといったものです。これは大きなロスです。

優秀な作業手順書では施工内容の分かり易さだけではなく、各工程の職人さんの作業に入る順番においても無駄のない工程が組まれます。
このように作業手順書によってロスを無くし、作業の効率化を図ることで、作業時間を短縮することが可能になります。作業時間の短縮は生産性の向上に直結するため、労働環境の改善にも繋がりますし、大工不足となることが確実なこれからの建設業界には必須事項です。
また余裕のある環境は品質の安定にも繋がるなど、良い循環が生まれます。

 

ETUSUSでは、加盟9社が集結して作業手順書を作成しています。9社それぞれの熟練の技や経験・知識を共有して作り上げた作業手順書はノウハウが詰まっています。これは1つの企業だけはなかなかできないことです。

また新たな課題が上がる度に協議を重ね、知識や技術をアップデートしていく。これがボランタリーチェーンの強みです。
ETUSUSの家も今の形が完成形ではありません。これから常にアップデートを図り、より良い家をお客様に届けるべく、日々勉強・改善していく所存です。

一生のうちでも最も高価な買い物であるといえる“家”。北陸屈指の企業の技術とノウハウが詰まったETUSUSを、是非一度ご検討ください。

 

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