今回は北陸エリアにおいて断熱等級7にする「意味」を、少し専門的な視点から掘り下げていきます。
どこかで「断熱はZEHぐらいで十分」と聞いたことはありませんか?
日照時間が短く厳しい寒さが続く北陸エリアにおいて、なぜこの性能が必要なのか。
今回は具体的なデータとともに、断熱性能を高めることで得られる暮らしの変化やメリットについて詳しく解説していきます。
それでは、まず今回のコラムの結論からみていきましょう。
・エツサスは、標準的な性能値を断熱等級6から断熱等級7(UA値0.26)への引き上げました。このグレードアップで家から逃げる熱を約23.5%抑えます。
・断熱等級7になることで、エアコンの規格を14畳用から8畳用へ小さくしても、家全体の暖房をまかなうことが可能
・断熱等級7+最適なエアコン能力選定で、同じ断熱等級でもさらに光熱費を削減することができ、1年間で約3万円もの暖房費を削減(等級6比)できる試算
・日射量が少ない北陸エリアでは、他の地域以上に断熱性能を強化する必要性が高くなる
・氷点下以下になる北陸の厳しい冬でも、エアコンの能力低下を補い快適な室温を安定して保てる断熱性は等級7
<1> 断熱性能等級7への引き上げで変わる住まいの基準

エツサスでは4月より、皆様にご提供する住まいの標準仕様を大きく向上させます。
これまでの標準仕様はUA値0.34という数値を持ち、断熱性能等級6に該当していましたが、さらに引き上げ、UA値0.26という最高レベルの断熱性能を標準仕様へと変更します。
最高ランクの断熱性能=断熱性能等級7です。
この最高ランクの高断熱の住まいは、外の気温変化に左右されにくく、室内を快適な環境に保ちます。
今回の仕様グレードアップは、家からの熱損失を平均で約23.5%も低減します。
長く快適に住み続けるために、建物の土台と言える断熱性能の向上は欠かせないポイントです。
<2>小さなエアコンで家全体の暖冷房する意味

断熱性能が向上すると、家を暖めるために必要となる暖房のパワーが少なくて済みます。
この高断熱化に伴い、実はエアコンの選び方も変わってきます。
エツサスの基本的な間取りでは、今回のグレードアップにより、「8畳用のエアコン1台で家全体を十分に温調することが可能」となります。
エアコンの能力の「最適値」に合った設計にすることで、無駄に大きな設備を導入する必要がなくなるだけでなく、エアコンにとっても効率がいい能力値で運転することができます。
<2-1>年間での消費電力の削減試算

エアコンの能力が小さくなることは、日々消費する電力が少なくなることを意味しますが、具体的な年間の暖房費の差額を見てみましょう。
エツサスの間取りで試算すると、同じ断熱等級7の断熱性で、200V・14畳用と100V・8畳用の消費電力差をもとに試算を行った結果が以下となります。(※エアコンメーカーの期間消費電力をもとに算出)
結論は、エアコンの選び方だけで年間で約1.8万円の暖房費削減が見込めます。

さらに、断熱等級が異なってきたときのエアコンの暖房費の目安と比べてみましょう。

上図を見てみると、「断熱性(UA値)をあげること」と「最適なエアコンの能力を選ぶこと」で、もっともランニングコストが低い組み合わせがわかります。
ちなみに、エアコンには能力が一番小さいタイプとして、6畳用のエアコンがあります。
計算上は6畳用で全棟をカバーできるようになっていますが、異常気象等も考慮して1段階余裕をもった設計にしている意図もあります。
なお、前述したエアコンの能力を最適化することと、断熱性能の差と組み合わせると、「最適な断熱等級7(UA値0.26)」の住まいは断熱等級6(UA値0.46)より年間約3万円以上の暖房費削減効果が見込まれます。
家づくりにおいて、建てた後のランニングコストまで含めて考えることはとても重要ですが、これも単純に断熱性能だけあげる、エアコンの能力も単純に下げればいいわけではありません。
断熱性とリンクした形で最適なエアコンを選ぶこと、そして北陸エリアの気候を考慮して最適な設計にすることが大事なポイントになります。
<3>北陸の気候から考える断熱等級7の重要性
それでは、「北陸ならではの気候風土」を考えていくと、断熱等級7の必要性がみえてきますが、その内容をわかりやすく解説します。
<3-1>日射量が少なく熱を取り込みにくい北陸の冬

北陸エリアの冬は、全国の中でも独特で厳しい気候条件を持っています。
雪が降る日や曇天の日が多く、冬場の日照時間が著しく短いことが大きな特徴です。
冬場は、太陽の熱を利用して部屋を暖めることが難しいため、設計にも工夫が求められます。
そのため、エアコンなどの暖房機器で作り出した熱を、いかに家の中に留めておくかが重要になってきます。
そこで大切になるのが、壁や窓といった外皮の断熱性能を徹底して高めることです。
太陽の恩恵を受けにくい北陸だからこそ、ほかのエリアに比べて高い断熱性能が必要になってくるわけです。
<3-2>北陸エリアでより高い断熱等級が求められる理由

国が定める断熱基準は全国を8つの地域に分けていますが、同じ地域区分でも気象条件は異なります。
LIXILのニュースリリース(出典:LIXIL)でも、地域ごとの日射量などを考慮した「断熱性能の地域補正」の重要性が指摘されています。
代表都市の断熱基準値をそのまま適用した場合、日照時間が短く寒冷な金沢市などの北陸エリアでは、冬の健康的な室温を保つための基準を満たしていない可能性があるとされています。
つまり、日射不足の北陸エリアにおいて快適な暮らしを実現するためには、他のエリア以上に断熱性能を強化する必要性が高いと言えます。
最高ランクの断熱等級7に引き上げることは、北陸の気候において大きな意味を持ちます。
<3-3>暖房を止めても体感温度が下がりにくい高い保温性

断熱性能が高い住宅は、部屋が早く暖まるだけでなく保温性が高いです。
暖房を停止したあとに、どれくらい体感温度が下がっていくのかを比較したデータがあります。
外気温が0℃前後という厳しい寒さの中で、室温23℃の状態から暖房を止めた6時間後の体感温度の低下の違いを比べてみましょう。

UA値0.26の住まいは、UA値0.46に比べて約2℃近く体感温度の低下が少ないことが分かります。
人は室温だけでなく、壁や床などの周囲から影響を受ける「輻射熱」を敏感に感じ取るため、断熱性能の差は小さくない違いとなっていきます。
この1℃の違いは後述する健康面の影響も左右し、長時間にわたって暖かさが長持ちする意味は少なくありません。
<4>外気温低下による設備機器の能力低下を見込む

出典:Panasonic
一般的なエアコンは、ヒートポンプという技術を活用して暖かい空気を作り出しています。
外の空気中にある熱を利用しているため、外気温が低くなればなるほど、外から集められる熱の量が少なくなってしまいます。
各エアコンメーカーの技術資料などを見ると、外気温がマイナス7℃まで下がると、本来の能力からおよそ20%程度低下するとされています。
つまり、本当に寒くて暖房が必要な日ほど、エアコン本来の力を発揮しにくくなります。
<4-1> 厳しい寒波でも室温を安定させる断熱の強み

気温が下がる寒い日には、奪われる熱の量も普段よりも増加します。
それにもかかわらず、エアコンの暖房能力は下がってしまうという二重の課題が発生します。
近年、北陸エリアでも寒波が長期間停滞し、厳しい寒さが1週間ほど続くことがあり、富山県内でマイナス10℃という低い気温が観測された日も。
このように気温が大きく下がる過酷な日にこそ、断熱等級7の住まいで熱が外へ逃げるスピードを最小限に抑え込む必要性が上がり、エアコンの性能低下をカバーしなければいけません。
<5>断熱性能がもたらす健康で快適な暮らしの実現
ここまで、なぜ断熱性が必要なのか?を家の設計上の視点で解説してきましたが、次に実際に住まう人への影響をみていきます。
結論から申し上げると、断熱等級7は「健康な暮らしへの第一歩」となります。
<5-1>朝晩の冷え込みを和らげ体への負担を減らす
出典:国土交通省 資料
前章でお伝えした通り、高断熱の住まいは暖房を止めても室温が急激に下がりません。
この室温の低下が少ないという事実は、朝晩の体感温度に大きな違いをもたらします。
冬場の朝、布団から出るのが辛いと感じる原因の多くは、室温の低さにありますが、断熱等級7の住まいであれば、夜間に暖めた空気が朝まで残りやすくなります。
朝起きたときの冷え込みが和らぐため、上図のように起床時の血圧も明確に下げることができ、体への負担を減らすことができます。
このような急激な温度変化の抑制により、家族全員が健康的に暮らしやすくなります。
<5-2>部屋間の温度差をなくし家全体を快適空間に
高い断熱性能は、リビングなどの暖房をしている部屋以外の空間も快適に保つ効果があります。
廊下・トイレ・洗面脱衣室など、暖房が行き届きにくい場所での寒さを和らげます。
温度差が少ない家は、どこにいても快適に過ごせるため、生活の質が大きく向上します。
北陸の厳しい冬でも、薄着でリラックスして過ごせるような住環境が手に入ります。
まとめ

エツサスが新たに標準仕様とする断熱性能等級7(UA値0.26)への引き上げについて、その意味と北陸での具体的なメリットを解説しました。
高い断熱性は、日射量の少ない北陸の冬において、他のエリア以上に重要な役割を果たします。
急激な温度変化からご家族の健康を守る、サステナブルで快適な住まいを実現できるのが最大の強みです。
北陸の気候に合わせた、暖かく安心して暮らせる家づくりをご検討の方は、ぜひ一度エツサスまでお気軽にご相談ください。


