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【対談】中田工務店 中田専務×エツサスアーキテクチャー協会 代表理事 原野剛行

「引き渡してからが本当のお付き合い」

(ゲスト)
株式会社 中田工務店 HPはこちら
専務取締役 中田 浩瑞 (なかだ ひろみつ)さん ※以下 中田

(聞き手)
エツサスアーキテクチャー協会 代表理事 原野 剛行 ※以下 原野

【中田工務店について】
原野:本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
早速ですが、まずは中田工務店さんの会社紹介をお願いできますか?

中田:創業は昭和21年で、私の祖父が大工としてスタートしたのが始まりです。今年で創業75年目になります。私の父も若い頃は祖父と一緒に大工をしていました。当時はハウスメーカーから依頼された大工工事をメインでやっていたと聞いています。いわゆる下請けですね。元請けであるハウスメーカーから渡された図面通りに工期を守って建物を仕上げる。そんな仕事をずっとしてきたわけですが、少しずつ「自分たちならこんな提案ができる」とか、「一からお客様の家をつくりたい」といった想いが強くなっていき、下請けの大工ではなく町の工務店としてやっていこう!と一念発起。平成元年に現在の社長である父が法人化して、株式会社中田工務店になりました。

原野:中田専務についても教えていただけますか?

中田:私がまだ小さい頃、会社の横にある作業場で祖父と父、そして社員大工さん達が墨付け(木材を加工するために印をつけること)をした柱や梁に、鑿(のみ)や金槌(かなづち)を使って、手仕事で継手(つぎて)やホゾなどの加工をしていました。上棟日を迎えた朝には、加工を終えて山のように積みあがった材料をトラックに載せ、意気揚々と現場に出発していくのを見て、いつも誇らしげな気持ちになっていたのを覚えています。

私は小さい頃から大工だった祖父や父の姿を見て育ったので、建築の道に進むことにまったく迷いがありませんでした。長男として中田工務店を継ぐことを当たり前のように考えていましたね。

県外の大学に進学して建築を学んだ後、設計事務所に就職。設計の実務を学んで富山に帰ってきました。中田工務店に入社してからはまず工事課に配属。現場監督としての仕事がスタートしました。設計事務所にいた頃は現場に行く機会も少なく、いつも机の上で仕事をしていましたが、いざ現場監督になって現場に行くと、頭の中でぼんやりとしていたイメージが一気につながっていきました。これまでずっと分かった「つもり」で設計してたんだなぁって痛感しました。それと同時に現場監督の仕事に対して、ものすごくやりがいを感じました!

現場では大工さん・職人さん達と、仕様の決定や現場で起こる小さな問題を一つずつ解決していきます。すぐに答えを出さなければいけないことも多く、私の指示がそのまま形となって仕上がってしまうので重大な責任が伴う仕事ですが、建築の「リアル」を感じられたことがすごく貴重な経験になりました。

その後、資格を取得して設計課で実施設計やプランナーとしての仕事に移りました。設計業務を通じて中田工務店の家づくりについて理解を深めながら少しずつお客様と対話する接点を増やしていきました。今は設計としての業務に加えて、お客様への「提案」を担う営業も担当しています。

現在、会社としては「設計」と「営業」を分業していますが、近い将来 自分でプランを作成して自分で提案する「設計営業」体制にしていきたいと思っています。自分の提案に一貫して「自信と責任を持つ」のが理想形ですね。自社の商品を知らないと当然提案はできません。なので、中田工務店の新入社員はまず設計から学ぶんです。

少し話は変わりますが、私には3つ年上の姉がいまして、その姉は自身で設計事務所を立ち上げて現在も活躍しています。祖父、父、姉、そして私。完全に建築一家ですね。

中田工務店の現場監督として仕事を始めた頃、たまたま姉が設計した案件を担当することになり、現場でバチバチの姉弟ケンカをしたこともありました。あの時はお客様になだめてもらって、その場はおさまりました(笑)。今となっては笑い話ですが、私はいつも少し先をいく姉の背中を追いかけながらも、長男として絶対に負けないという気持ちで日々仕事をしています。

【家づくりで大切にしていること】

原野:家づくりに対する想いや家づくりで大切 にしていることを教えていただけますか?

中田:中田工務店では建物は引き渡して終わりではなく引き渡してから、つまりお客様が住み始めてからが本当のお付き合いということを常々社員全員で共有しています。

例えば営業。営業としては目先の「売上げ」を意識してしまいますが、お客様に目一杯の住宅ローンを借りていただき、引き渡し後の返済で苦しい思いをされては本末転倒です。住み始めてからの「幸せな暮らし」のために、一人ひとりのお客様に合った資金計画を提案しています。

設計では担当者の自己満足といえるような独創的な提案を極力控え、住み始めてからのメンテナンス費用をなるべく抑えられるような素材の選定や家のつくり方を提案、工事では住み始めてからご近所の方と良好な関係を築けるように、近隣の迷惑になるようなことを絶対に起こさないよう努めています。

また、中田工務店は太陽光と蓄電池の導入を積極的に提案しています。これも住み始めてからのお客様の「暮らし」を第一に考えるからこそなんです。住んでみてお客様が初めて気づくことの一つとして光熱費があります。恥ずかしながら、過去には「光熱費ってもっと安いと思ってました」と言われたことがあるんです。

住みはじめてから毎月支払う住宅ローンに加えて、高い光熱費を生涯払い続けるのは大変ですよね。なので、電気代を抑えられる仕組みを私たちなりに考えて、2012年に会社としてスマートハウスに取り組み始めました。当時は太陽光発電の買取り価格が高かったのでなるべくたくさん太陽光を載せ、発電した電気を「売って」得をするという考え方でしたが、10年近く経過した今は買取り価格が下がり、なるべく電気を「買わない」ことで得をする時代にシフトしています。そのために必要になるのが蓄電地です。日中は太陽光パネルで発電した電気を使い、夜間は昼間のうちに蓄電池に貯めておいた電気を使って生活できます。

原野:中田工務店さんというと太陽光のイメージも強いですが、今後太陽光発電を搭載する家が当たり前になっていくと言われているなかで、時代を先取りした取り組みはすばらしいですね。ちなみに、太陽光発電と蓄電池への初期投資は何年ほどで元が取れる計算ですか?

中田:約10年です。私たちは太陽光だけでなく必ず蓄電池もセットでご提案しているので、住みはじめてからの電気代はほぼゼロで生活できます。長く住めば住むほど絶対にお得な暮らしができる仕組みなんです。最終的な理想形は電力会社と契約せずに完全に電気を自給自足する「オフグリッド」ですね。

蓄電池というと100Vの電源を使うケースも多いんですが、私たちは200Vの電源を確保することにこだわっています。なぜなら、IHクッキングヒーター・エコキュート・エアコンなど生活に絶対必要な家電が200V電源だからです。災害時などを想定すると、仮にしっかり自給自足できるだけの太陽光と蓄電池の容量があっても、100V電源だけで暮らしていくことはできません。その辺りをしっかりとお客様にご案内して、納得していただきながら家づくりを進めています。モデルハウスは十分な発電量と蓄電池を備えているので、富山市から「災害スポット」として認定されていて、地域の皆さんに外部電源を供給する場所にもなるんですよ。

原野:しっかりとノウハウを蓄積してきた中田工務店さんならではの提案ですね。目の前のお客様の要望に応えるだけでなく、住宅のプロフェッショナルとして長期的な視点でアドバイスされているところが非常に共感できます。

【お客様との関係について】

原野:次にお客様との関係づくりで大切にしていることを教えていただけますか?

中田:中田工務店では、定期点検を1年目、2年目、5年目、10年目、15年目、以降5年毎に行っています。最近では定期点検を外部の業者に委託する工務店もあるようですが、工務店は住まいの主治医です。私たちが定期的に健康診断を受けるように、住まいの主治医である「社員」が訪問することを大切にしています。点検では普段お客様が目にすることの少ない箇所を入念にチェックします。床下や小屋裏、屋根の上などをしっかり点検して写真でお客様と共有しながら、点検履歴を残していきます。

中田工務店のホームページでは定期点検の様子を「点検ブログ」として公開しています。結露やカビなど本当は会社として隠しておきたい内容もあるんですが、すべてオープンにしています。主治医として、建てた家と正直に向き合いたいですからね。すると不思議なことに他県の工務店さんから同様の事例の対処方法などについて問い合わせをいただいたりすることがあるんです。工務店の駆け込み寺みないな感じでしょうか。これからも、お客様にとっていい家を提案するためにずっと勉強していかなきゃなと思います。

原野:クレームも含めて正直に情報を公開するのは、勇気も要りますし本当にすばらしいですね。その他にもお客様に対して何か特別な取り組みはされていますか?

中田:毎年12月に、その年に中田工務店で工事をしていただいたお客様を会社にご招待して、社員全員でおもてなしする謝恩会を開催しています。食事や催しのすべてを社員全員で企画しています。

ただ、昨年今年とコロナの影響でお客様をお招きすることができない状況が続いています。そこで、去年からは社員の提案で発想を転換し、サンタやトナカイの着ぐるみを着てお客様の家を一件一件訪問する形に切り替えました。

お客様の家にお邪魔すると、子供たちが目をキラキラにして本当に喜んでくれるんですね。それを見た親御さんもすごく喜ばれて。お客様の笑顔を見ると私たちもほっこりしますし、その場にいる全員が幸せを感じられる瞬間です。一件ずつお客様のアポイントを調整していくのは実はけっこう大変なんですが、そんな苦労も一気に吹き飛びますね。

原野:それは喜ばれるでしょうね。社員から自発的に意見がでる社風もステキですし、それを受け入れて実行できる会社の体制もいいですね。

【エツサスについて】

原野:エツサスに加盟されたきっかけや理由について教えていただけますか?

中田:以前からプレカットではウッドリンクさんにお世話になっており、それこそ原野製材時代(ウッドリンクに社名変更する以前)からのお付き合いですよね。当然、プレウォール工法の耐震性や断熱性の高さについてはしっかり理解しているつもりです。実際に弊社の社員も自宅を建てるときにはプレウォールを選びますしね。そのプレウォール工法を標準にした高性能の規格住宅をつくると聞いて、これは絶対にお客様に喜んでいただけるって直感で思いました。市場にはすでに価格優先のローコスト規格住宅がたくさんありますが、高性能の規格住宅はあまり聞いたことがありせん。予算が限られているお客様や、住宅にそこまでお金を割きたくないお客様であっても、性能にこだわる方は絶対にいらっしゃると思うんです。

さらに、すでにある商品を販売するのではなく、北陸4県から有志の工務店を募って一緒に企画して仕様をつくり上げると聞いて、間違いなく北陸の気候風土に合った住宅をつくることができると確信しました。

エツサスはHEAT20の断熱性能で暖冷房費が一般住宅の半額程度に抑えられますし、耐震等級3、省令準耐火構造、長期優良住宅が標準なので火災保険料や固定資産税、住宅ローン金利が安くなったりと経済メリットがたくさんあります。標準性能が高いので補助金を活用するために仕様をアップグレードする必要もありません。

これは、先ほどからお話ししている「住んでから」のお客様を第一に考えるという私たちの想いと一致します。そういう意味では、中田工務店とエツサスの理念は根底でしっかりつながっているんでしょうね。これからも、お客様のメリットになることは、積極的に提案していきたいと思っています。

原野:中田工務店さんのモデルハウスの特徴を教えてください。

中田:基本的にはエツサスの仕様に沿って建てていますので、性能に関係する部分はエツサスの標準です。ただ、中田工務店としては先述の通り太陽光発電・蓄電池の活用ノウハウに自信がありますので、しっかりご提案させていただけると思っていますし、社内に輸入建材を扱っている部門がありますので、カウンターなどの部材にオリジナルの商品を採用しています。このモデルハウスでもキッチンと、2Fホールのカウンターに弊社で手配したアルダーという樹種の板を採用しています。オークのフローリングとマッチしていい雰囲気ですよね。

【中田工務店の今後のビジョン】

原野:中田工務店 は今後 どんな風になっていきますか?

中田:これからも「建物を引き渡して終わりではなく、引き渡してからが本当のお付き合い」というモットーを大事にしていきたいですね。家は幸せな暮らしを支える器です。単に家という商品・モノを売るのではなく、幸せな暮らしをつくるお手伝いをしていきたいと思っています。また、表面的なデザインを追求するのではなく、住宅の品質や性能のボトムアップをどんどん実現していきたいですね。

原野:デザインについてはどうしても流行り廃りがありますが、性能が高い家は、引渡し後のお客様の満足に直結しますよね。

中田:まったくその通りですね。10年後にお会いして、満足されているお客様は皆さん口をそろえて「性能」についてお話しされます。暖かい家にしてくれてありがとうって。つまり、性能をしっかり高めていくことが最終的なお客様の満足につながるんですね。これからも引き渡した後を大切にしていく中田工務店の想いを胸に、地域の工務店として頼られる会社でありたいと思います。

原野:今日は中田工務店さんの家づくりに対する考え方や、中田専務の想いをうかがうことができて、大変参考になりました。特に、中田工務店さんとエツサスの理念が根底でつながっているという点などは、私にとってもうれしい気づきでした。中田工務店さんのような「想い」をもった会社と家づくりができるお客様はきっと幸せですね。本日は貴重なお話しありがとうございました。

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