今回は、新築の検討において「やってはいけないコストダウン」について紹介していきます。
注文住宅などの検討でよくある、予算が合わないことからの調整によるコストダウンですが、やってしまうと実は逆にコストアップになってしまうことがあります。
巷に出回っているコストダウンの方法のうち、本当に削った方がいいポイントと、中長期で見て削らない方がいいポイントを解説します。
それでは、今回の記事の要点からみていきましょう。
・やってはいけないコストダウン ①
耐震性を妥協する:家が倒壊・損傷するリスクがあり、命の危険すらある
・やってはいけないコストダウン ②
太陽光発電を否定する:光熱費は今後上がり続ける。光熱費を大幅に下げる唯一の手段
・やってはいけないコストダウン ③
ZEH基準すら満たしていない:冷暖房費を圧縮することでランニングコストを抑える
※ただし、注意点がある
・やってはいけないコストダウン ④
外装材(外壁・屋根)に安いモノを使う:外装は修繕費が大幅にかかるところ
<1> やってはいけないコストダウン ①:耐震性
家は家族を守るためのものであり、耐震性はもっともコストダウンの対象にすべきところではありません。
一般的に新築は全部「建築基準法を守っているから大丈夫でしょ?」というイメージがありますが、実は新築だからと言って安心とは限らない点が注意すべきポイントです。
<1-1>建築基準法の耐震基準自体が甘い
建築基準法どおりの耐震基準は、いわゆる耐震等級1という指標です。
この状態でも家を建築することは可能ですが、実はこの基準自体が「甘い」基準になっています。
建築基準法で定められている基準を簡単に言い換えると、「震度6強~7の地震が1回来た時に倒壊しなければ良い」という条文になっています。
多少過激な言い方ではあるものの、言い換えれば「2回目に倒壊するような設計もOK」、「倒壊はしないものの壊れてもOK」ということになります。
過去の地震(熊本地震など)では1回目は耐えられるが2回目に倒壊した家が多くあり、連続地震に耐えられる性能が必要です。
たまに耐震等級3を「過剰スペック」と言う会社もいますが、大切な家族の命を守るべき家を考えている段階のみなさんにおいては、コストダウンを目的として選ぶべき選択肢ではないでしょう。
<2>やってはいけないコストダウン ②:太陽光発電
太陽光発電を否定している工務店は未だに多いのが現状です。
大手コンサルティング会社など、大方の見方としては光熱費は今後も上がり続けるような現状であり、家を買う方はその家の光熱費も考えた検討が重要です。
太陽光発電は、光熱費を大幅に下げる唯一の手段であり、正しい意見を聞きましょう。
<2-1>太陽光発電は自家消費が最大のメリット
まず太陽光発電は、パネルに日光が当たると電気を発電します。
その発電された電気は、まずリアルタイムで使っている家電製品の電力として活用され、それでも電気が余ったら電力会社に売られます。
この発電して余った電気(=売電)を買い取ってもらう単価は、ひと昔前に比べて安くなっている一方、昨今は買う電気が高くなっていますよね。
太陽光発電は、自分で発電した電気を自給自足できる特徴があり、この高くなっている電気を買わずに自給自足できる効果(=自家消費)があります。
この効果は、例えば本来は10,000円分の電気を使っていたとしても、太陽光発電で発電した分の自家消費(=電気の自給自足分)は電気料金の明細に出てくることなく、10,000円から安くなった状態、例えば7,000円で電気料金の請求がきます。
今後は蓄電池や電気自動車の普及も考えると、太陽光発電はできるだけ入れた方がよいでしょう。
<3>やってはいけないコストダウン ③ 断熱・省エネ性
昨今の家では、いわゆる「省エネ基準を満たしていない家」はほとんどありません。
しかし、ZEH基準を満たしていない家は、まだ見受けられる現状です。
このZEH基準を満たしていない家は、当然イニシャルコストは安いですが、住んでから暖冷房費が掛かりやすい家になってしまい、本末転倒な結果を招きやすいです。
<3-1>ZEH基準とは
出典:資源エネルギー庁
ZEH基準とは、おおまかに解説すると、一定以上の断熱性能と省エネ性能が確保され、さらに太陽光発電が設置されている家のことです。
断熱性能が良い=保温性が高く、冷暖房の効きが良い、ということは冷暖房費がかかりにくい家になるわけです。
毎日使う設備機器(給湯器など)も省エネ性が高い製品であれば、ランニングコスト(光熱費)が抑えられて結果的に安い家になります。
このように家計全体から出ていくお金を考えた設計にしないと、本当にコストダウンとは言えません。
<3-2>ただし「やりすぎ」は逆にコストアップ
ただし、この断熱性・省エネ性には注意点があります。
断熱・省エネに関しては「やりすぎ」は逆効果になる可能性が高いため、効果と費用とのバランスを考えて設計しないといけない点です。
断熱性や省エネ性を高くするためには、性能がいい断熱材・窓サッシ・設備機器を導入することになりますが、一定のところで頭打ちになってきます。
断熱性を上げていくメリットとしては、光熱費の圧縮と快適性の向上という2つが挙げられますが、性能が一定以上になると、もはや体感上の効果の差が感じ取れず、光熱費も微々たる差になってきます。
自己満足として「性能値」を求める方であればいいですが、実際のイニシャルとランニングコストのバランスが大事で、具体的には断熱性能はG2グレード(断熱等級6)前後がもっとも効果的と言われています。
<4>やってはいけないコストダウン ④
4点目は、外装材(外壁・屋根)に安いモノを使うことです。
外装は修繕費が、定期的かつ大幅にかかるところです。
安いタイプの外装材は、10年に1度ぐらいの頻度で塗り替えなどが必要で、一般的な35坪の家であれば、一般的に外壁の塗り替えで100~150万円、同時に屋根の塗り替えで50~100万円という費用がかかります。
安い外装材で安く抑えたつもりが、10年に1度の頻度で150~250万円の費用が掛かっていては本末転倒です。
最近は、メンテナンス頻度が長い(=メンテナンス回数を抑えることができる)外壁も登場しており、イニシャルコストが多少高くてもすぐ逆転するため、このような修繕費も加味してコストダウンを検討しましょう。
まとめ
今回は初期コストをできるだけ安くしよう!と思って、コストダウンさせたつもりが、逆にコストアップになるよくあるポイントを解説してきました。
共通していることは、将来的な出費(光熱費・修繕費)まで加味したコストを契約前に考えないと、失敗・後悔の原因になることです。
どうしても新築の見積金額の安い・高いに流されがちですが、この記事を参考に将来的なコストについてもしっかり理解して新築を検討しましょう。
エツサスでは、このような将来的なコストが掛かりにくい家を「標準仕様」にしており、さらに他社との最も大きな「違い」は、建築費用である初期費用も安い点です。
ZEH+耐震等級3の家が1,700万円~、太陽光発電付きの場合は1,840万円~となっており、安価かつランニングコストも安い家がポイントです。
気になった方はモデルハウスへの見学へ、お気軽にお越しください。