今回は、「ムダのない間取り」について深掘していきます。
しっかり考えたつもりでも、実はムダになってしまっている部分が出てしまうのがプランニングの常でもあります。
考え方ひとつで家全体の大きさを圧縮できるため、有意義なコストダウンに繋げることもできます。
ぜひ、家づくりで間取りに悩んでいる方におすすめの内容となっています。
それでは、今回のコラムの要点からお伝えします。
・ムダを少なくするには、廊下・ホールを最小化することと、階段の設計がカギ
・昨今は洗面所として、洗面化粧台を設置する部屋を設けることなく、通路を兼ねる配置にすると動線的に見てもスムーズなプランニングになることがある
・リビング内学習を基本とすると、お子さんの部屋を最小化できる
(実質的に使う期間は限られている)
・ファミリークローゼットを活用する方法も有効である
・「普遍的に使いやすい間取り」が存在するので、考えるのに疲れてきた方は規格プランから選ぶ方が失敗せずに済む
<1> 基本のキーポイントは廊下・ホール・階段
出典:エツサス・コンセプトBOOK
間取りを決める上で、おおよその配置を決めてしまうモノが、玄関と階段の位置です。
基本に則ればLDKは南側、水まわり(お風呂や洗面など)は北側、というのがいわばセオリーとなっています。
そのため、どこに玄関と階段を持ってくるか?で、その家の間取りはだいたい決まります。
また、水まわり関係は必要とする大きさが決まっており、一定以上は小さくできない事情もあり、全体の中でムダを省いていこうと思うと、まず目を向ける箇所が廊下・ホールとなります。
もっとも、なにごとにおいても「余白」は大切でもあるので、ムダと必要な余白を見極めながら間取りを考えていくと窮屈になりにくいでしょう。
<1-1>廊下・ホールがなくても問題が少ない変化
出典:エツサス・コンセプトBOOK
多くの方が家づくりをすすめる中で、「今まで住んできた感覚の延長線上」で間取りを考えてしまいます。
これは当たり前の話ではあるのですが、昨今の新築と「多くの方が今まで住んできた家」は断熱性が大きく異なります。
昔の家は、夏は暑く・冬は寒かったわけですが、この暑さ・寒さを軽減するために部屋を小さく区切って暖冷房を行う必要がありました。
しかし今の家、例えばエツサスの家であれば断熱等級6~7と、北陸の気候風土でもエアコン1台で快適に暮らせる仕様になっています。
そのため、温熱環境上の理由で小さく区切る必要もなく、廊下やホールの面積を最小化できます。
<1-2>階段の設計はムダを大きく左右する
間取りを構成していると、設計士が悩むポイントの1つが階段です。
階段は一般的な箱型階段と言われる形状からオープンな階段まで様々であり、さらには曲がり方や建築基準法で決められた寸法の遵守など複合的に考える必要があります。
この階段の設計が上手くいかないと、2階にムダに大きい廊下ができたり、1階に窮屈な場所ができたりと設計に差ができやすいポイントです。
階段については、この形状の階段を使ったらムダが少なくなる、という法則はありません。
間取りやご家族の価値観も左右する部分であるため、間取りにムダがある場合は階段を大きく見直してみるとよいでしょう。
<2>洗面所の考え方の変化
これまでは一般的に、洗面所として1坪(2帖)の大きさに、洗面化粧台と洗濯機を設置するパターンが多かったです。
この配置はもっともスタンダードな設計であり、現在も多く採用されている間取りです。
しかし、昨今は洗面所として部屋にするのではなく、通路を兼ねた場所にオープンな形に洗面化粧台を配置する間取りも増えてきました。
部屋として確保するより、通路となってしまう部分を洗面所と兼ねることで、全体のムダを少なくするのと同時に、動線的にもスムーズなプランニングになることがあります。
このような動きの背景は2つあり、1つがおしゃれな洗面化粧台が増えてきたこと。
そして2つ目が脱衣室との分離の考え方が増えてきたことにあります。
<2-1>おしゃれな洗面台の増加と脱衣室
昨今、洗面化粧台もユニット型のタイプではなく、ベッセルボウル型などおしゃれかつ圧迫感が少ない商品が多くなってきています。
存在感がある洗面化粧台になると、洗面室という部屋の中に入れたくなるのですが、カウンターのようなデザインであれば通路の延長で対応できる場合もあります。
また、家族の生活時間の多様化により、お風呂に入る時間がバラバラなことなども遠因として、「洗面脱衣室」ではなく「洗面室」と「脱衣室」を分離するケースも多くなっています。
脱衣室と分離する場合、洗面はより一層圧迫感のないタイプが求められ、間取りのコンパクト化に合わせて間取りが変化してくることになります。
このあたりも、脱衣室を分離するかどうか?については、1つの考え方としてご家族のニーズ・意向に合った方を選ぶとよいでしょう。
<3>リビング内学習で子供部屋を最小限化
つづいてはお子さんの部屋の大きさに関わる部分です。
数十年前は6帖~4.5帖というのがスタンダードでしたが、昨今は4.5帖でも大きいぐらい、という感覚になってきています。
一概に決められる部分ではありませんが、お子さんの部屋は以下のような特徴があります。
・使う期間が限られている(新築から15年~20年程度?)
・快適にし過ぎると出てこない
こうした側面や、一方でリビング内学習の効果が10年以上前から教育の専門家の方々からも提唱されてきたことからも、子ども部屋の大きさは「必要最小限」で十分と判断される方が増えてきています。
このあたりは価値観での相違も出やすい部分ではありますが、一度勉強の仕方や普段のお子さんとの接し方などを振り返ってみると家の大きさを削減することにつながるでしょう。
<4>ファミリークローゼットの活用
昨今の新築市場でピックアップされるキーワードの1つが「ファミリークローゼット」です。
従来、それぞれの部屋に個々の収納が設置されることが一般的でしたが、昨今は1つの大きな収納を活用することでムダを削減する動きがあります。
収納自体は多ければ多いほど収納量が増えるものの、棚などで整理整頓がしやすいことが前提となります。
昔は「納戸」と言って収納用の部屋がありましたが、単なる部屋では段ボールが積みあがっていくのがオチであり、奥の方のモノが非常に取り出しにくくなります。
そのため昨今の考え方は、ハンガーパイプや棚などを完備した収納スペースとして仕上げていくのが主流です。
<5>悩むなら規格プランという選択肢
ここまでは比較的、注文住宅にフォーカスした内容で、全体の床面積を圧縮するためのテクニックや設計上の考え方を紹介してきました。
しかし、間取りは多種多様であり、今回ご紹介した内容すべてが皆さんに当てはまるとも限らない点が、建築の難しいところ。
また、普段から業務で設計を行っている人間ですら非常に悩むポイントのため、はじめての家づくりをされる方でも同じように悩む部分となります。
そこで、ある意味「割り切り」として規格プランを選択することも賢い選択肢であると言えます。
<5-1>規格プランは流行りも考慮したベストプランの集約
規格プランは自分で選べないデメリットに焦点があたりがちですが、一歩引いて見てみるとプロが考え抜いた上のプランでもあるわけです。
普遍的に使いやすい間取りとして規格プランが存在しており、土地の形状にピッタリ合いさえすればアレコレ考えずとも、使いやすい間取りが手に入ります。
注文住宅では、意外と「考えるのに疲れてきた」という方も少なくなく、割り切って規格プランから選ぶ方が失敗せずに済むという見方もあります。
どちらが正解というわけではありませんが、その悩み自体が「ムダ」と感じるようであれば、思い切って規格プランを選んで、キッチンや家具等を選ぶ時間に充てる方が充実するかもしれません。
まとめ
エツサスは北陸の気候風土に最適な高性能住宅として、人気がある規格プランでリーズナブルな住宅をご提供しています。
規格プランの中には、今回ご紹介したような設計上の工夫を盛り込んでいるプランもございます。
また、性能面でも北陸の気候風土を考えた設計となっているため、シンプルな考え方とセミオーダー的にマイホームを決めていくことができます。
流行りである、平屋・1.5階プラン・ファミリークローゼット・ランドリールームなどを取りそろえていますので、気になった方はぜひお近くのエツサスのモデルハウスへ足をお運びください。