今回は、意外とみなさんが気づきにくい空気質のお話です。
高気密高断熱住宅ならではのポイントであったり、空気の特性から考えたときに注意したほうがいいポイントなどを解説していきます。
何気なく吸っている空気ですが、少しのこだわりで新築の満足度が大きく変化します。
それでは、今回のコラムの要点からみていきましょう。
・住宅資材ではアレルギー物質の対策がされているものの、購入してくる家具などは未対策のものが多い
・アレルギー物質は比重が重く、部屋の床付近に溜まりやすい性質があることから、小さいお子さんが影響を受けやすく、床下から排気できる換気扇がおすすめ
・換気扇は意外と重要な設備で、空気のよどみに大きく関わってきますが、メンテナンスがしにくい製品が多く、お手入れ方法まで考えて導入しましょう
・特に花粉症の方が家族にいる場合、換気扇のフィルターの性能やメンテナンス方法はしっかり確認しましょう
<1>アレルギー物質への対策を換気で
現在の新築では、法律によってアレルギー物質をほとんど出さない建材しか使えないようになっています。
20年以上前にシックハウス症候群といって、新築で使われている建材・接着剤などから発する化学物質が体に悪影響を及ぼしているとされ、その規制が2003年から始まっています。
具体的には、ホルムアルデヒドなどの特定の物質が規定値以下となっている建材や接着剤には、「F☆☆☆☆」(フォースターと呼ぶ)のマークがあります。
すべての住宅会社で守らなければいけない基準法として定められているため、新築自体からはこのようなアレルギー物質は出にくくなっています。
それでは、どのようなポイントに気を付ければいいのでしょうか?
<1-1>家具や大気中の物質
出典:マーベックス・カタログ
住宅資材ではアレルギー物質の対策がされているものの、購入してくる家具などは未対策のものが含まれています。
新品の家具から独特の匂いがした覚えがある方もいるのではないでしょうか。
その匂いすべてがアレルギーを引き起こす物質ではないとしても、安価な新品の家具にはこのようなアレルギー物質が含まれやすいとも言われています。
また、花粉やPM2.5など大気中に含まれる細かい粒子も、一種のアレルギー物質です。
これは換気や衣服に付着して、外から入ってきてしまう物質です。
このようなアレルギー物質は比重が重く、部屋の床付近溜まりやすい性質があることから、小さいお子さんが影響を受けやすいとも言われています。
<1-2>一般的な換気扇では排出されにくい
出典:パナソニック・カタログ
住宅で備えられる換気扇でもっとも多い方式は、上図のような壁付けのプロペラファンです。
一般的には壁の上の方、さらにトイレや洗面所などに設置されていますが、リビングなどの空気を引っ張って換気をしていることになっています。
しかし空気は時間経過とともに入れ替わっても、比重の重いアレルギー物質までは換気でなかなか排出されにくい現状があります。
また、換気の細かい話をすると、プロペラタイプの換気扇は空気を押し出す力が弱いため、リビングからしっかり空気を引っ張ってこれない実態もあり、「換気扇が付いているだけ」となっている実情もあります。
<1-3>床下からの排気がおすすめ
出典:マーベックス・カタログ
このような実情がある中で、おすすめな換気方式は床下から換気を行なう方式です。
換気扇といっても一般的に想像する換気扇ではなく、ダクトで排出するようなタイプを使うことで床下から室内の空気を吸い込むことができます。
また床下から排気することで、排気口の掃除も床面で行なえることでメンテナンス性も、壁付けに比べてよくなります。
新築の中でも、換気扇はマイナーなカテゴリーで、あえて自分で選ぶ方は少ないものではありますが、意外と新築の空気を司る大事なものであることがわかります。
<2>換気扇はお手入れ方法が大事
このように、換気扇は空気のよどみなど室内の空気質に大きく関わってきますが、2つ目に大事なポイントはメンテナンスです。
メンテナンスが行き届かないと、本来の換気性能(風量)が出にくくなり、換気量も落ちてしまいます。
ただ、メンテナンスフリーの換気扇なんてものは存在しないため、メンテナンスがしやすい換気扇を選ぶことが重要です。
<2-1>天井設置 / 床下設置
ダクト式換気扇の場合、大きく分類して天井に設置するパターンと床下に埋め込むパターンの2つにわかれます。
天井に設置する換気扇は、天井からそのまま吸う機種もあれば、ダクトで吸う機種もありますが、いずれも天井設置になるとフィルターのメンテナンスは少し手間が掛かってしまいます。
そこでおすすめな換気扇は、床下設置タイプになってきます。
換気扇のお手入れで意外と思われる箇所は、室内から空気を排出するフィルターが汚れやすい点です。
外から吸い込む空気だけで、室内の空気はだいじょうぶでは?と思う方もいるかもしれませんが、実はホコリを中心に室内から排出する空気も汚れているのが実態です。
室外へ排出する経路がホコリなどで詰まってくると、本来の性能が出なくなってくることから、1ヶ月~3ヶ月に1度は掃除機などでフィルターを掃除する必要があります。
このお手入れを毎回、脚立などを使って上を向いてやらないといけない状況となると、だんだん面倒になってしまいます。
このように、換気扇はお手入れすることを考えて設置場所までを検討しましょう。
<3>換気扇選びのときには外気フィルター付きがおすすめ
出典:「花粉に関する生活者実態とその対策の検証」花王・生活者研究センター
つぎに、外から吸い込む空気のフィルター性能も大事です。
特に花粉症の方が家族にいる場合、フィルター性能がいい換気扇を選ぶことがおすすめです。
上図は化学メーカーの花王が調査した結果ですが、花粉の室内への侵入は窓開け換気を含む換気経路から約6割となっています。
これも一般的な給気口の場合、花粉が通り抜けるような簡易的なフィルター粒度になっていることが多く、花粉をダイレクトに入れ込んでしまいます。
春先に花粉が侵入してくることを恐れて、換気の給気口を塞いでしまう方もいらっしゃいますが、本来の換気ができないことで様々なデメリットが発生しますので、これもおすすめできません。
◆ 換気の給気口を塞ぐデメリット
・CO2が排出されず、室内のCO2濃度が慢性的に高くなる
・湿気が排出されず、高湿度状態になりやすく、冬は結露が発生しやすくなる
(結露がカビなどの原因になる)
そのため、換気をしながら花粉やPM2.5だけをカットするような換気扇を新築時に選ぶことが大事になってきます。
<4>エツサスでは今回の注意点を踏まえた換気扇を導入
エツサスで標準的に採用している換気扇は、今回紹介したポイントを抑えている換気扇になっています。
ポイントは、床下排気+お手入れがカンタンという点です。
出典:マーベックス・カタログ
エツサスで採用している第一種熱交換型換気扇は、床下設置になっており上記の通り、普段のお手入れはフィルターを掃除機でカンタンに掃除できるタイプになっています。
また外気用のフィルターも、外部に付いていることから虫や砂ホコリなどを取り払う際にも気になりにくいです。
さらに防虫ネットが使い捨てになっていることで、そのままゴミ箱に捨てることができる簡便さとなっていたり、花粉の除去率も99.8%となっていることで、家族の中に花粉症の方がいる場合にも嬉しい性能となっています。
まとめ
エツサスは、北陸の気候風土を深く研究し、家づくりの基準となる性能を決めています。
ブランドイメージを「生涯つづく、安心と快適な暮らし」「北陸の住まいに最適な性能」とさせていただいていますが、新築のキレイな状態が「生涯つづく」には換気性能も大きく関わってきます。
さらに住んでいる人だけでなく、建物の寿命にも換気扇は大きく影響してきます。
換気扇は、新築時にはあまり気にかけることがないアイテムではありますが、今回紹介したようなポイントを気にしながら家づくりをすすめると、きっと住みやすい家になるでしょう。
換気扇が左右する他の大事なポイントもありますので、気になった方は北陸各県にあるエツサスのモデルハウスへぜひお気軽にお越しください。