今回は、ご家族のライフプランから家づくりの資金計画の全体像と、家づくりとご家族にかけるお金のバランスを考察していきます。
多くのご家族が、お子さんや家族のためを思って家づくりをするわけですが、本当に家族のためになっている選択ができているでしょうか?
家づくりにかかる資金や、将来的なライフプランまで考えるキッカケになるコラムとなっています。
それでは、まず今回のコラムの結論から見ていきましょう。
・光熱費を中心としたランニングコストが安い!というPRはどこでも聞きますが、結局建物本体価格がそれ以上に高額になってしまっては本末転倒
・北陸において、北海道レベルの超高断熱の必要性はしっかり見極めた方がよい
・検討が進むにつれて、元々の家づくりの目的として、お子さんの成長を見守ったり、資産を残したりするため、という本来の目的から外れていっていないか?を冷静に考えよう
・住宅に求められる各種性能はしっかり満たした上で、イニシャルコストが割安な建物を選ぶことで、将来的に子供に残せる資産は大きくなる
<1>断熱レベル別の光熱費の違い
昨今、新築ではZEH水準の断熱性・省エネ性はもはや当たり前の時代となってきました。
ここで、しっかり検討をしていきたいのが、どのレベルまで性能を上げていくのか?という視点です。
高気密高断熱住宅では家の断熱性、つまり保温性がいいことから、暖冷房の効きがよくなります。
エアコンも少しのエネルギーで、部屋を快適な温度にキープしやすく、稼働量も減ることから暖冷房にかかる電気代などを削減しやすくなります。
しかし、どのぐらい断熱性を良くしたら、どのぐらい光熱費がちがってくるの?と冷静に考えてみると、「ちょうどいいレベル」に設定したくなるものです。
北陸エリアの気候も考えた上で、断熱のレベル別でどれくらいの光熱費の違いが出てくるのか?を見ていきましょう。
<1-1>断熱等級6を超えると削減額も少なく
出典:YKKAP・カタログ
光熱費を中心としたランニングコストが安い!というPRはどこでも聞きますが、冷静にどれくらい安くなるのか?をみていきましょう。
上図は、北陸で多い5地域と呼ばれる気候条件下での、断熱等級別の暖冷房費の違いです。
2025年に義務化される省エネ基準(=断熱等級4)の場合、年間でかかる暖冷房費は約12.8万円となっています。
この基準は、あくまで義務化レベルとして最低限の基準となっていますが、次に2030年に義務化予定の断熱等級5まで断熱性能をアップすると、年間で約1.6万円削減できます。
さらに断熱性能をアップして断熱等級6まで上げると、省エネ基準比で年間で約3.2万円の削減となります。
エツサスでは快適性の観点から、断熱等級6以上を推奨していますが、実は最上位である等級7へグレードアップしても光熱費の削減効果は急激に薄れてきます。
そのため、省エネ基準比では大きく見える効果も、等級6と比較すると年間での暖冷房削減額は約3,000円となっています。
<2>必要以上のお金を払っていないか?
上記のような客観的なデータを用いて、北陸における適切な設計値を冷静に考えることは非常に大事なポイントです。
家づくりをすすめる中で、北海道レベル(断熱等級7)の超高断熱!といったPRを聞くと、すごいモノと思いがちですが、その必要性はしっかり見極めた方がよいでしょう。
建築地が本当に北海道であれば別ですが、本コラムをご覧になっている方は北陸エリアの方が多いでしょう。
北陸エリアの気候風土にあてはめて考えれば、断熱等級6→等級7にあげて、仮に50年間住んだとしても、その経済的な効果は15万円となります。
その15万円を削減するために、建築費用としてはそれ以上かかってしまいます。
エツサスでは、この断熱等級7に対応するグレードを用意していますが、上記の理由からあまり積極的にはおすすめしていません。
<2-1>標準仕様の中にはそのコストが含まれている
よく、家づくりの中で「標準仕様」という言葉が出てきますが、これはあくまで住宅会社側が概算で見積を提出するために当初決めている仕様のことです。
例えば断熱等級7を標準にしていれば、等級7に到達できるレベルの断熱材や窓サッシのコストも算出されているわけです。
そのため標準仕様を比較するのではなく、その仕様で生み出される費用対効果を見ないと正確には「割安感」は比較できないわけです。
本来は、ご家族がここまでの快適な暮らしがしたい、という希望があって計算していくわけですが、最適値を考えないと充分以上の仕様にお金を払っている可能性も。
つまり、知らないうちにオーバースペックなものにお金を払っている可能性もあり、家づくりにおいて注意すべきポイントではあるものの、はじめての家づくりでなかなか「最適値」はわかりにくいものです。
<3>家づくりの本当の目的は「家族の幸せ」?
ここまで、断熱性能の最適値とコストバランスをピックアップして解説してきましたが、家づくりの「本来の目的」に立ち返ってみましょう。
家づくりをする目的は、ご家族それぞれの事情がありますが、多くのご家族が以下のような目的で家づくりを検討されているのではないでしょうか?
・子どもの部屋をつくりたい
・家族の資産を残すため
・家族が快適に暮らす場所をつくるため
このような回答をされる方が多いと思いますが、家づくりの目的で「性能のいい家を建てたい」と回答される方は少ないのではないでしょうか。
しかし、家づくりの検討が進むにつれて、元々の家づくりの目的が「お子さんの成長を見守ること」「家族に資産を残すため」という本来の目的から知らぬうちに外れていってしまう方もいらっしゃいます。
冷静に本来の目的に立ち返ると、必要な仕様をできるだけ費用をかけずに作ることが最適であることに気づくのではないでしょうか。
<3-1>家族に必要なモノを必要なだけ
家づくりを検討される中で、昨今は「必要なモノを必要なだけ」という考え方のご家族は増えている印象です。
言い換えれば、「シンプルライフ」「ミニマリズム」などというキーワードになるのでしょうか。
なんでも削ればいいわけでなく、家族が安心・安全・快適に暮らすために必要なモノは見極めていきたいですよね。
新築では、例えば家族の命を守るための耐震性は妥協することなく、耐震等級3を必須でおすすめしている一方、費用対効果の見えにくい超高断熱である断熱等級7への投資は、このような考え方のご家族には適していないと考えています。
もちろん、コスト度外視で性能を追求したい方には断熱等級7のプランもご用意していますが、ほとんどの方は家にかけられる予算は有限です。
その限られた予算配分を考えていくと、必要性を客観的なデータなどを用いて適正な部位に適正な投資をしていくことが、今後の家づくりに求められることです。
<3-2>新築は家族の幸せを買っている
その有限な予算がある中で無理をして、お子さんの教育資金など家族で本当に必要なことにお金が回せないような事態になっては本末転倒です。
前述した目的で家づくりをすすめているにも関わらず、建築費用を掛け過ぎて家族のための旅行や教育資金、思い出作りに費用を割り当てることができないのは残念な結果です。
家づくりにおける「よくある失敗」で常に上位に来る、予算オーバーという項目。
比較検討をすすめると、どっちの性能がいい?といった比較や、せっかくの新築だからと余計なグレードアップをしがちですが、ご家族に合った予算・設計のバランスが大事です。
<3-3>イニシャルとランニングコストの収支がいい家
最後のポイントは、建築費用とのバランス感です。
新築市場では、すでにランニングコストが安い家は普及しつつあります。
そのため、住宅に求められる各種性能はしっかり満たした上で、イニシャルコスト(建築費用)が割安な建物を選ぶことが、将来的に子供に残せる資産を大きくするために大事なポイントです。
世界的なインフレの影響から、住宅を建てるための資材関係も全国漏れなく値上がりを続けています。
そのため、最近の傾向でも新築の平均床面積がコンパクトになりつつありますが、イニシャルコストとしての建築費用とのバランスをより一層、しっかり考えないといけない現状です。
まとめ
エツサスでは、最新の新築で求められる住宅性能をしっかり抑えた上で、建物本体価格 1,770万円(税抜)~ のリーズナブルな価格設定になっています。
標準仕様で、耐震等級3で家族の命・財産を守り、断熱等級6・第一種換気システム・高気密で最小限のランニングコストで快適に暮らすことができる設計になっています。
このように、ランニングコストもイニシャルコストも抑えることができる仕様が特徴となっており、さらにその性能は北陸の気候風土を考えて「ちょうどいい設定」に。
家づくりでは最小のコストで、家族の将来のために使える資金をしっかり捻出できる資金計画をお考えの方は、ぜひお近くのエツサスまでお気軽にご相談ください。