断熱性能の高い家なら、どの部屋も同じように快適になると思っていませんか。
UA値を高めることは、外の暑さや寒さの影響を抑え、冷暖房に使うエネルギーを減らすために大切です。
ただし、UA値が優れていても、南側のリビングは日射で暖まり、北側の水まわりは温まりにくいといった室温差が生まれることがあります。
家の中の温度を整えるには、断熱材の厚さだけでなく、窓の大きさと方角、日射の入り方、間取り、エアコンの位置まで一体で考える必要があります。
今回は、数値だけでは見えにくい室温差の原因と、空調された空気を家全体に届けるための設計について解説します。
それでは、今回の記事の要点から見ていきましょう。
・UA値は家全体の平均的な熱の逃げにくさを示す数値であり、部屋ごとの室温差までは分からない
・同じUA値でも、窓の大きさや方角、日射量によって部屋の温まり方や暑さは変わる
・断熱性能とあわせて、空調された空気の通り道と戻り道を確保できる間取りが必要
・エアコンはLDKの畳数だけで選ばず、断熱性や気密性、窓、天井高、地域の気候などを含めた冷暖房負荷から選ぶ
・エツサスでは吹抜けとエアコンの位置を組み合わせ、暖かい空気と冷たい空気の上下の動きを空調に活かしている
<1>UA値だけでは部屋ごとの室温差まで分からない

UA値とは、住宅の単純に家の断熱性を数値化した「平均値」です。
屋根や天井、外壁、床、窓などから逃げる熱量を合計し、面積で割って求めますが、数値が小さいほど、家全体として熱が逃げにくいことを表しています。
ここで知っておきたいのは、UA値はあくまで平均値でしかないことです。
どの部屋から、どれだけ熱が逃げるかを直接示す数値ではありません。
同じUA値の住宅でも、窓が大きい部屋と小さい部屋、外気に接する面が多い角部屋と家の中央にある部屋では、熱の出入りが異なります。
そのため、高いUA値の家にしただけで、すべての部屋が自動的に同じ温度になるわけではありません。
UA値は家の保温力を判断する重要な指標ですが、室温差まで考えるには、間取りや空調換気の条件も確認する必要があります。
<1-1> 窓の大きさと日射量が室温を左右する

室温差に大きく影響するのが窓です。
窓は壁よりも熱が出入りしやすく、大きさやガラスの性能、方角によって部屋の温まり方や冷え方が変わります。
冬の晴れた日は、南向きの大きな窓から入る日射が室内を暖めますが、北側の部屋は日射を得にくく、同じ断熱仕様でも室温が上がりにくいことが考えられます。
一方、夏も直接的に陽が入りやすい西側に窓がある部屋は暑くなりやすいです。
室温差を抑えるには、窓を小さくすればよいわけではありません。
冬に取り込みたい日射と、夏に遮りたい日射を方角ごとに整理し、窓の大きさ、ガラス、庇や外付け日よけを組み合わせることが大切です。
明るさや眺望も含めて窓を計画することで、快適性とデザインを両立できます。
<2>断熱性能と間取りを一緒に考える

室温差を小さくするには、断熱性能を確保したうえで、空調された空気が家の中を移動しやすい間取りにすることが重要です。
たとえば、エアコンのあるLDKから廊下を何度も曲がった先に洗面室があると、暖かい空気や冷たい空気は届きにくくなります。
扉で細かく仕切られた間取りや、奥まった廊下が多い間取りも、空気の流れは途切れやすくなります。
反対に、LDKと廊下、階段などが緩やかにつながり、空気の通り道と戻り道を確保できる間取りは、少ない空調機器で温度を整えやすくなります。
ただし、吹抜けやオープンな間取りをつくるだけでは十分ではありません。
高い断熱性と気密性を前提に、エアコンから出た空気がどこを通り、どこへ戻るかまで設計する必要があります。
<2-1>部屋を閉めたときの使い方も想定する

普段は扉を開けていても、就寝時や来客時には個室を閉めることがあります。
扉を閉めた途端に空調が届かなくなる間取りでは、日常の使い方に合っているとは言えません。
家族の生活時間や個室の使い方を確認し、必要に応じて個別空調、室内窓、通気経路、換気計画などを検討します。
全館空調が「最上位」のように思う方もいるかもしれません。
しかし、今の高性能住宅ではオーバースペックになることが多く、全館空調することだけを目的にせず、生活に合わせて無理なく温度を整えられる仕組みにすることが大切です。
<3>エアコンは部屋の畳数だけで選ばない

エアコンを選ぶとき、多くの方がLDKの広さとカタログの適用畳数を見比べます。
しかし、間取りの畳数とエアコンの畳数をそのまま合わせる選び方は、高性能住宅に適さないです。
日本冷凍空調工業会によると、カタログの畳数や期間消費電力量は、JIS C 9612で定める平均的な木造住宅の条件などをもとに示されています。
現在の高断熱・高気密住宅だけを前提にした表示ではありません。
そのため、熱が逃げにくい住宅では、床面積だけで選ぶと能力が大きすぎます。
エアコンの難しい所は、住宅に対してエアコンの能力が大きければ=安心・快適とはならない点です。
また、能力の大小で省エネも左右されます。
機器の能力は、床面積だけでなく、断熱性、気密性、窓の日射、天井高、地域の気候、間取りを含めた冷暖房負荷から判断することが理想です。
<3-1>設置位置と風向きが空調効率を決める

さらに適切な能力のエアコンを選んでも、設置位置が悪ければ空気は家全体に届きません。
大切なポイントは、吹き出した空気を生活空間へ届け、再びエアコンへ戻せる位置に設置することです。
下がり壁などで風が遮られる場所、換気設計なども考慮した上で、空気が “下流” にながれていく場所などを避けます。
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動しやすい性質も考えながら、吹き出し方向と階段や吹抜けの位置関係を整えることが、空調効率を高めるポイントです。
<4>エツサスは吹抜けを空気の通り道として活かす

出典:石川県 金沢市 | エツサス|北陸の気候に最適な高性能住宅
ここまで解説しましたが、初めて家づくりをする方がこのあたりまで考慮して工務店側に指示することは不可能に近いです。
選ぶべきポイントは、このあたりまで考慮できる会社(設計者)かどうか?です。
エツサスでは、北陸の気候に必要な断熱性能を確保したうえで、吹抜けとエアコンの設置位置を組み合わせ、家の中で空気が循環しやすい間取りを設計しています。
標準的に取り入れている吹抜けの間取りは、見た目の開放感を生むためだけの空間ではありません。
暖房時に上昇する暖かい空気、冷房時に下降しやすい冷たい空気の動きを考え、上下階をつなぐ空気の通り道として活用できます。
エアコンの風が吹抜けや階段を通って広がり、滞留した空気が戻りやすい位置関係にすることで、上下階や部屋同士の温度差を抑えやすくなります。
もちろん、吹抜けがあれば必ず快適になるわけではありません。
窓からの熱の出入り、日射、断熱性、気密性、エアコン能力を合わせて計画してこそ、吹抜けを空調に活かせます。
エツサスは、性能値と北陸の気候風土、実際の暮らし方を切り離さず、少ないエネルギーで家全体の快適性を保ちやすい住まいを目指しています。
まとめ

室温差を抑える家づくりでは、UA値を高めるだけでなく、窓の日射、部屋ごとの熱の出入り、空気の通り道、エアコンの能力と設置位置まで一体で考えることが大切です。
高断熱住宅だからこそ、畳数だけでエアコンを選ばず、住宅の冷暖房負荷に合った機器と間取りを計画する必要があります。
エツサスでは、吹抜けを空気の循環に活かしながら、北陸の暮らしに合う断熱・空調設計をご提案しています。
モデルハウスでは、部屋ごとの温度感や空気の流れもぜひ体感してみてください。
